NRC2051 回転式ピントルフック解説
ピントルフック(トーイングフック)について
ランドローバーでトレーラーを牽引する際には、ピントルフック(トーイングフック)が必要となります。
※
トレーラーの牽引には、「ヒッチボール」を使用する方法もあります。
確かに、ヒッチボールのほうが走行中のガタがないので
牽引しているのを忘れそうな引っ張り心地を求めるならば
ヒッチボールの方が優れています。
アスファルト上での使用だけでしたらヒッチボールでも良いですが、
オフロードでの過酷な状況で牽引したり、
スタックからの脱出のためロープで引っ張ったり引かれたりする
状況ではピントルフックをおいて他には選択肢はありえません。
ピントルフックとは例えばこのようなものです。
ピントルフックです。ゲレンデワーゲン300GDに後付けしました
※
ゲレンデヴァーゲンのピントルフック取付台座の穴の間隔は、後に述べるディクソンベート等とは微妙に異なるため、台座に穴をドリルであけ直しました。
ディクソンベート製のピントルフックです。MATO(ナトー)タイプとも呼ばれます。
NATO(ナトー)とは、「北大西洋条約機構」の略で、
NATO軍の軍用車(ランドローバーディフェンダー等)がこのディクソンベート製ピントルフックを採用しています。
なにを隠そう、上の写真のピントルフックはまさにNATO軍放出の中古品です。
三菱ジープ用のピントルフックです。ちなみに当店のクラシックレンジローバー(バギー仕様に改造)に装着しています。
当店のクラッシックレンジローバーのリアバンパーには3つのピントルフックを装着してあります。
- 中央(黒色):三菱ジープ用
- 両側(オレンジ):
ディクソンベート製(スペースの都合で90度横にして装着しています。
これも同じく三菱ジープ用のピントルフックです。ちなみにスズキジムニーに装着しています。
※
このスズキジムニーのリアバンパーは純正品ではなく、
ピントルフックが取付けられるアフターパーツです。
ピントルフックの基本構造
ピントルフックの基本構造は、以下の通りとなります。
- クルマのリアバンパー(または取付金具)に4本のボルトで留める
- 牽引部分は丸い輪っか状になっていて、「上あご」が開く。
- 牽引するときに加重が掛かるのは、「下あご」。
取付けは4本のボルトで固定するため、ピントルフックには4つのボルト穴があいています。
このボルト穴の取付けピッチは、
85mm(横)x45mm(たて)
が一般的です。
ディクソンベート製ピントルフック(通称NATOフック)もこの寸法で、
取付けボルトはM12です。
※NATOフックの穴はもっと大きいですが、M12よりも太いボルトを通すと、加工精度等からうまい具合にはまらず、結果的にM12ボルトとなります。
(そもそもM12を使うように設計されているのだと思います)
なお、他のピントルフックについては、M10ボルトサイズを使うものもあります。(その意味で、NATOフックは丈夫な設計をしているといえるかと思います)
ちなみに、ゲレンデワーゲン300GDの取付ステーはいやらしく取付ピッチが違いましたので穴をあけなおす必要がありました。
このようにたまーに寸法が違うことがありますので、必ず実際に定規を当てて測ってみてくださいお願いします。
以上のとおり基本構造は同じですので、
どのメーカーのピントルフックでもトレーラーは牽引できることになります。
※
基本構造は同じものの、各メーカーごとに微妙にデザインや耐加重(強度)が異なります。
メーカー別のピントルフックの決定的な違い
ピントルフックは、どのメーカーのものを選んでも
いちおう機能することになっていますが、決定的な違いは、
フック部分がくるくる回転するかどうか
にあります。
通常のピントルフックは回転しませんが、
ディクソンベート社製のピントルフックは回転します。
ディクソンベート社製のピントルフックの特徴は以下の通りです。
1。下あご部分が太めで、他のピントルフックよりも
トレーラーの牽引アイ部分とのすき間が
少なくぴったりしていて、走行中のガタが少ない。
2。他のピントルフックに較べてごつい
3。フック部分が360度クルクル回転する
4。上あごが開かないロック機構に加えて割りピンをさす穴があいている
(二重の安全対策)
5。取付ピッチは85mmx45mm。
このディクソンベート社製ピントルフックはNATO軍も採用しています。
現在、自衛隊の高機動車もくるくる回転するピントルフックを採用するなど、ピントルフックの世界標準は、くるくる回転するものになっています。
これは何のためかというと、
トレーラー側の「ピントルフックがはまる金具」(ドーナツ状のアイ金具)が固定されている構造の場合、牽引車両とトレーラーとが大きくねじれた際に
ピントルフックとアイ部分にストレスがかかってこわれない(歪まない)
ようにするためです。
オフロード走行はもちろん、アスファルト道でもカーブでロールした場合、
ピントルフックとアイ部分とのどちらも回転しない場合は、大きなストレスがかかり、最悪は車両が転倒する事例がイギリスで報告されています。
ただし、ピントルフックとアイ金具との両方が回転すると、走行中にピントルフックが90度回転することがあります。
ピントルフックが横になった状態で負荷がかかるのはよろしくないため、以下の使い方をします。
- トレーラー側のアイ金具が回転する場合は、ピントルフックは回転しないように固定して使用します。
- トレーラー側のアイ金具が回転しない場合は、ピントルフックがくるくる回転するようにして使用します。
以上、よろしくお願いいたします。
ディクソンベート製ピントルフック
ディクソンベート製ピントルフックを横からみた写真です。
フック部分を固定したり、360度くるくる回るようにするための金具があります。
フック部分を固定した状態です。
フック部分が360度くるくる回転する状態です。
反対側の様子です。
※
なお、このピントルフックは、クラシックレンジローバーの正式部品として存在します:
部品番号 NRC2051 Rotating Towing Hook(回転式トーイングフック)
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